まず、水洗トイレの交換工事の基本的なことから解説していきましょう。
便器の種類
現在主流となっている洋式便器には、3つのタイプがあります。
組み合わせ型トイレ
最もオーソドックスな便器です。便器本体とタンク部分がそれぞれ別になっています。
便器とタンクが別々になっているため、たとえばタンクが破損して交換が必要になっても、便器はそのままにタンクだけを交換できるので、最低限の手間とコストで修理できることがメリットです。
また、次項以降の中で最も低価格なので、安上がりに水洗トイレに交換するならおすすめです。
組み合わせ型トイレのデメリットは、便器本体とタンクの間の部分にほこりや汚れが溜まりやすいこと、デザインとしては特に目新しいものではないということです。
一体型トイレ
便器本体とタンク部分が一体化しているタイプのトイレです。
タンク部分と便器本体がつながっているので、組み合わせ型のように汚れが溜まることがなく、掃除しやすいことがメリットです。
また、組み合わせ型と比較するとモダンなデザインなので、トイレのイメージを一新したい方にはおすすめです。
デメリットとしては、便器とタンクが一体なので、仮にタンク部分だけが破損しても便器もあわせて丸ごと交換しなければならないので、コストがかかるという点です。
価格は3種類の中で中間なので、デザインとコストパフォーマンスを両立できます。
タンクレストイレ
上記2種類のトイレとは異なり、タンクがないタイプのトイレです。
流すための水は給水管から直接供給します。水を溜めるタンクがない分、トイレが広くなります。
デザインも一体型と同様にスタイリッシュで、古いトイレのイメージを一新できます。
デメリットは、給水管の水圧が十分でないと、トイレを流すことができないので、そもそもこのトイレを設置できないことがあるという点です。
また、タンクがないので、組み合わせ型にはたいていある「手洗い場」もありません。そのためトイレ内かトイレの近くに別途の手洗い場を設置する必要があります。
水洗トイレの排水形式
水洗トイレの排水方式には「床排水」と「壁排水」の2種類があります。どのような違いがあるのでしょうか。
床排水は下方向にトイレの排水を流す方式であり、戸建て住宅など多くの場合はこちらの排水方式が採用されています。
壁排水は排水管が壁(つまり横方向)に伸びており、これは集合住宅においてよく用いられています。
便器を交換する場合、便器本体の排水方式と、ご自宅の排水管の位置を合わせる必要があります。たとえばご自宅が床排水なら床排水対応の便器を買わなければなりません。
水洗トイレを交換するにあたっては、ご自宅の排水方式に合わせて適切な便器を交換してください。
水洗トイレの便座
水洗トイレには「便座」がついています。今は、この便座にもさまざまなタイプがあります。
普通便座
とくに何も特別な機能を搭載していない便座です。
他の便座よりも安いので、トイレ交換の費用を抑えたい場合にはおすすめです。
特別な機能は搭載されていないので、電気も使用しません。
暖房便座
便座を温める機能が搭載されている便座です。
次項の「温水洗浄便座」ほど高くなく、冬場でもお尻を冷やさずにトイレを使用できます。
暖房機能のために電気を使用しますので、トイレ内に電源が確保されていないと設置できず、また停電時には電気を供給できないので使用できなくなります。
温水洗浄便座
いわゆる「シャワートイレ」と呼ばれる機能が搭載されている便座です。
普通便座と比較すると高額ですが、かなり利便性が高く、一度使うと普通便座には戻れないという方も多いです。
暖房便座と同じく電気を消費するので、トイレ内に電源が必要で、停電時には使用できません。日頃のメンテナンスも必要です。
その他の便座
そのほかにも、リモコンで制御するタイプの便座や、人が近づくと自動的に開閉するタイプの便座もあります。
こうしたタイプの便座は基本的に電気を使用しますので、トイレ内に電源を確保できる状況かどうかを把握しておいてください。
水洗トイレの洗浄方式
水洗トイレには「洗浄方式(どのように水が流れるか)」の違いもあります。
・サイホン式
・サイホンゼット式
・サイホンボルテックス式
・トルネード式
それぞれ「洗浄力の違い」や「洗浄時の静穏性の違い」などの違いがありますので、交換する便器を選ぶ際に注意しましょう。
水洗トイレのその他の機能
水洗トイレには、上記以外にもさまざまな機能が付いたものがあります。
たとえば、汚れが付着しにくくなる素材が使用されている便器は、お手入れの頻度を減らしてトイレをメンテナンスしやすくしてくれます。
そのような機能性の高い便器はほかの便器より高いものもありますが、よりトイレを快適に利用できるようになります。
メーカーごとに機能の詳細は異なりますので、ホームページやカタログで確認したり、それでもわからない点があればメーカーの担当者に問い合わせて確認すると良いでしょう。
水洗トイレ交換の時期の目安・サイン
水洗トイレ(便器)の耐用年数は、一般的には「10年が目安」とされています。ただし実際の耐久性はメーカーや製品によって異なります。
便座やタンクの耐久性もメーカーごとにさまざまなので、厳密に「○年で交換が必要」ということは断言できあません。
交換が必要なほどに劣化してしまったトイレには、以下のような症状があらわれます。
このような症状がとくに複数あらわれたら、早めに便器を交換することをおすすめします。
プロの一言アドバイス
最近では、カタログ上のスペックが「耐用年数20年以上」となっているトイレも登場しています。
実際の耐久性についてはトイレの使い方などにもよりますので、10年という期間はあくまでも目安として、上記の劣化の症状を参考にしてください。